「思考の理論」によって、「勉強」の主体が学習者自身であり、現代における勉強の基本は「独学」であるという結論に達しました。では、この「独学」が前提となる時代において、塾はどのような役割を果たすべきなのでしょうか?
この記事では、その答えを「独学のサポート」という一点に集約できることを証明します。
現代における「勉強」の前提
まず、これまでの議論の前提を再確認します。
- 「勉強」は「記憶」の作業である:
- 勉強とは、他人の(「疑問」, 「答え」)の組を、自身の「記憶」に落とし込む行為です。
- この作業は究極の個人作業であり、他人が代わりに行うことはできません。
- 「独学」は最も効率的な手段である:
- 現代社会には、先人たちが構築した知の連鎖(教科書、動画など)が豊富に存在します。
- これらを活用した独学は、効率的に「記憶」に落とし込むための最適な手段です。
なぜ塾の役割は「独学サポート」なのか
これらの前提を踏まえて、教師や塾の役割が「独学サポート」に集約される理由を証明します。
証明:
- 「思考」と「勉強」の峻別:
- 「思考の理論」によれば、「思考」と「勉強」(記憶)は明確に区別されます。
- 中学生や高校生が学ぶ内容は、すでに答えが完全に確立された(「疑問」, 「答え」)の組です。この段階での勉強は、「思考」ではなく「記憶」の作業が中心となります。
- したがって、この段階の学習において、塾が「思考」を教えるという介入は、そもそも役割として成立しません。
- 独学の困難さ:
- 独学は効率的ですが、すべての学習者がスムーズに進められるわけではありません。
- 教材や進捗の管理、そして何よりも「継続」の難しさが、独学の障壁となります。この段階で、不必要に「思考」を浪費したり、学習が停滞したりする問題に直面します。
- 教師・塾の最適解:
- この時、教師・塾の役割は、生徒に一方的・強制的な授業を行うことではありません。それは独学の効率を損ないます。
- したがって、教師・塾は、良質な教材の選定、進捗管理、そして学習へのモチベーション維持といった、独学の困難な側面を徹底的にサポートすることに特化すべきです。
- 具体的には、計算力や基礎学習といった最低限の知の連鎖を、より短期間で効率的に「記憶」に落とし込むためのサポートを提供します。この介入により、生徒は学習の本質的な部分に集中できるようになり、学習の効率が最大化されるのです。
結論:塾は「思考」ではなく「効率化」を支援する
以上から、私たちは以下の結論を導くことができます。
現代において、塾が「思考」を教える必要はない。その役割は、独学を前提とした上で、良質な教材と進捗管理、そして継続のサポートによって、生徒がより短期間で必要な知識・技能を「記憶」に落とし込めるように支援することである。
これは、現代教育における塾の真の価値を明確に示唆していると言えるでしょう。知識を伝える「先生」ではなく、学習者の「記憶」を管理し、継続を支えるパートナーという、新しい役割なのです。
コメント